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灰の効能~日本農書全集より~

土を温め熱する・・・草木灰のおもな効能。性質は温め熱し、上へ上へのぼって花と実を目指していく。そのため陰湿だったり霧の多かったりする地域にとっては、このうえなく素晴らしい肥料である。(69巻「培養肥録」)
種の「肌肥」には灰・・・夏の土用のあと八、九月までの間に、原野のかやなどの草やいばらの藪の生い茂っているところへ行き、それらを刈り取って順次焼いて灰にするとよい。篠竹がまじっていると草が一番よい。なぜなら、篠竹は脂気があって、灰にしても目方が重く、効き目が優れているからである。これは、そば、大麦、小麦の肌肥としてよい。農業全書には「灰がなければ、そばと大麦を播いてはならない」とまでいわれている。ことに小麦には灰肥が最もよい。麦の肌肥に混ぜて入れれば、寒さを防ぎ、生育もよくかんも堅くしっかりしていて倒伏することはがない。
 そのほか、どんな穀物にも適するが、とくに水田の水の冷たいところ用いると大変効果がある。土地を肥沃にし、土性を改良し、また菜や大根などに虫がついた場合に水肥に灰を入れて注いでやると、虫がみな姿を消すものである。灰は作物をよく実らせ、そのあとを肥沃にする肌肥の最上のもので、農家が第一に貯えるべきもの、それがこの灰肥である。(3巻「開荒須知」)
種芋の切り口につけると大きな芋に・・・仏掌薯、銀杏芋の種は、大きく生長した芋を二寸四方くらいに竹べらで切り、切り口に灰をつけて植えるようにするとよい。芋を切らずにそのまま植えたものよりも大きな芋がとれる。(5巻「農業蒙訓」)
瓜につくアブラムシを退治・・・瓜の葉にアブラムシがついた場合は朝まだ露のあるうちに、灰をたくさん用意して、片手で蔓を持ち上げ、片手で灰を葉にふりかけるとよい。こうして畦中に灰をふれば瓜の肥料にもなるであろう。(12巻「農業全書」)
梨のアブラムシも退治・・・かりやす(ススキを小さくしたようなイネ科の多年草)を燃やして灰にし、その灰に湯をかけて灰汁を取り、その灰汁で洗えば梨のアブラムシは死ぬと言い伝えている。(40巻「作り方秘伝」)
土壌を殺菌する力もある・・・灰は土地を締め、殺菌力があるので病菌を排除する。灰を施しても晴れた日が続くとよく効かない。一度ぐらいの降雨や潅水でもなかなか効かない。種まきの頃か、また春に一度施して、その後中耕のときに施す。(8巻「家業伝 木綿作意話」)
by ken_nakaji | 2006-04-18 19:41 | 棚田保全
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