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11月9日から12月26日までの全国ロードは、かなりハードでした。この間、家に滞在できたのは3日間でした。
由利本荘市→富士吉田市→東京→栃木→熱海市、埼玉小川町→飯能市→東京→鳥取智頭→仙台→登米市→米原市→長浜市→福井市→東京(相談会・自伐議連勉強会)→智頭町→四万十市→宿毛市→西予市、岩手県大槌町→九戸村→陸前高田市→気仙沼市→石巻市→会津若松市→北上市→東京、鹿児島出水市→大阪→徳島、です。
かなりの数の地域を転戦しましたが、以前と違うのは、このほとんどの地域が自伐展開を開始している、またこれから開始するというアクションを起こしている地域が多いということです。
情報提供だけのところは会津若松市だけで、また具体的展開までは至ってないが検討中は埼玉小川町・九戸村・登米市です。他の地域は全て既に自伐アクションを起こしている地域です。今年一気に増えてきました。情報提供の時代から展開・実践に移ってきました。

今年までの成果をまとめると
 ・自伐を政策的に位置付けて自伐推進を始めた市町村:14自治体
 ・自伐支援を始めた県:3県
 ・高知県の成果:高知県が自伐支援を予算化し、小規模林業推進協議会を設置
    既に会員が約280人、自伐展開を始めた人が100人越え(100人以上の就業創出
 ・全国で自伐展開し始めた事業体(チーム)数:30事業体以上、人数では200人以上
 ・自伐型林業研修を始めた地域:13地域
 ・自伐型林業普及推進議員連盟(自伐議連)が衆議院参議院議員合わせて43人で立ち上がった
   会長:中谷元氏、代表代行:新藤義孝氏、幹事長:坂本哲志氏、事務局長:田野瀬太道氏、事務局次長:高野光二郎氏

やっと「実装」や「普及」という言葉が現実味を帯びてきました。
この実績は推進組織が確立してきたこと、事務局スタッフや、現地の推進団体が増えてきたことが、この成果につながっています。
まさに地方創生の現実化ですが、気付かない人もいれば、気付きたくない人も多いようですね。林野庁などは、つい最近の林業団体の会合で、私と自伐批判を繰り返していたと、参加した人から聞きました。つまりこの成果は林野庁の支援を受けずに、出た成果ということです。林野庁が目を覚ませば、凄まじい成果を生み出す可能性があるのですが。早く目を覚ましてほしいですね。
高知県だけで100人以上の就業を創りだしているのです。それも森林環境を保全し、持続的森林経営を確実なものにしているのです。森林組合などを遥かに超越しているのですが、ほとんどの皆さんが気付かずに進んでいるのです。

まあ、それはともかく、来年は、さらにこの展開を加速させたいですね。皆さん、よろしくお願いいたします。
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最初の6枚は、ある森林組合が実施した間伐現場で、最後の2枚が2年目の自伐型林業者が実施した間伐現場です。
みなちょうど同じ年(昨年度)に実施しています。
 前者(前6枚)は、列状間伐・過間伐・谷を追っかける作業道・1回の施業時でしか使う意図のない作業道、となっています。山林の入り口には「間伐展示林」と看板がありました。
 後者(後2枚)は、初めて2年目の若者が実施した間伐現場です。持続的森林経営を実証されているベテラン自伐林家に習いながら、長期的経営視点を持っておこなった現場です。

一見しただけで、明白に後者の間伐現場がレベルが上であることがわかると思います。前者は次回皆伐するしかないような山となっており、今後風倒木や土砂流出も起こす可能性が高い山となっています。持続性ほとんどなしです。伐採業者化(委託・請負型)と高性能林業機械化がどうしてもこういうレベルにしてしまいます。今全国の森林組合等が伐採業者化しています。
林野庁の審議会等の資料を見ていると、持続的森林経営を伐採業者の企業経営と取り違えていることがわかります。先日もある自伐林家を訪問した林野庁の課長が「最近始めた自伐林家はレベルが低い」と言って帰ったそうですが、これは伐採の仕方のみを見ているのであって、林業で最も大事な間伐技術や持続的森林経営技術が見えてない人の発言です。間伐技術や経営技術は全く逆で、2年目若者が遥かに高レベルです。この事業体の方が、非常にレベルが低いと言えます。ベテラン自伐林家からすると素人状態です。持続性や環境保全性がほとんどない状況です。もう終わった山と言えます。全国で同じ現象が起き、森林組合等の事業体の間伐レベルがとても低くなっています。大規模な木質発電所によりさらに加速する恐れも高いですね。これは非常に危惧しなければならないことです。加速すれば日本林業が終わってしまう可能性も高いと言えます。固定した山を持続的に森林経営する自伐型林業者が増えなければ大変なことになりそうです。

残念ながらここに気付いている人が少なすぎます。とにかく気が付く市町村や地域住民を増やしていくしかないですね。間に合うかどうか。

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現行林業と自伐型林業の比較Part-5です。
 前回は、所有と経営の分離政策の問題点を挙げましたが、今回は施業手法です。現行林業の予定調和は「50年皆伐施業」です。約3千本を植林して、下刈りを繰り返し、20年頃除伐をおこない、30~40年目で間伐し、50年で皆伐(主伐)して、再造林するという循環です。高校の教科書でも映画「WoodJob」でもそういう説明をしていると思います。
 この手法の最大の問題点は、現行の材価では採算が合わず、成り立たないということです。山林所有者が森林組合に委託し主伐(皆伐)すると、山林所有者の収入は平均約50万円/haです。最近はさらに下がっているようです。その後、再造林すると約100万円/haかかります。早くも50万円の赤字になります。その後も下草刈りを7年程度おこなわなければならず、費用が積み上がります。再造林にかかる費用は250万円程度かかるとされています。その原資が50万円なのですから、全く話にならない状況です。とっくに破綻した手法と言えます。過去、国有林や各県の県行造林・林業公社等が大赤字になり、大山林所有者が破たんした主原因はこれです。再造林するには再造林費用を全て補助金で見てくれないとできないのです。再造林できても次に下刈り費用、シカ被害と難題続きです。つまり現状の木材価格下では、この手法は持続的(循環的)な林業はできないということです。しかし、森林・林業再生プランや現行林業政策もまだこの手法を変えていません。まだ全面的にこの手法を指示しているのですから、この学習能力のなさは極まっています。困ったものです。
 この面的な皆伐施業は、過去の経験上も林業と木材産業に大打撃を与えます。高知県東部では魚梁瀬(やなせ)杉の産地でした。吉野杉に匹敵する銘木でしたが、戦後の皆伐施業により、生産はほとんどなくなり保護地区が残るばかりです。戦後たくさん存在した林業者は全国各地へ移住し、製材業者は見る影もなく消え失せました。残った集落を襲ったのはハゲ山による土砂災害でした。これにより、山間集落は海辺の集落に集団移転し、山間地の村は消滅しました。皆伐施業がもたらした悲劇です。同じような地域が全国にも存在すると思います。今また、伐期が(50年を過ぎた)きたからと言って皆伐してしまえば、また同じことに繰り返しです。今回は再造林できない状況ですので、その地域の林業を消滅させてしまう可能性も高くなるでしょう。中山間地域の8~9割を占める山林が数十年使えなくなったその先には消滅自治体が待っていることでしょう。
 では一方の自伐型林業ではどうなるか。限られた山林から、毎年安定的な収入を得ていかなくてはいけないため、この皆伐施業はできません。択伐施業になります。択伐施業でも長期(最低100年以上で、可能であれば200年以上)を目指します。皆伐施業一辺倒の現行林業関係者は全く気付いてもないようですが、長年択伐を展開している人たちは当たり前なのですが「択伐マジック」という現象があります。自伐が採算の合う要因に低投資・低コストに加え、この択伐マジックが「儲かる」主要因となります。多間伐を7~10年ごとに繰り返し(間伐率は蓄積量の2割以下)、残った木を成長させながら面積当たりの価値を最大限に高めていく手法です。この際、多間伐を繰り返す故、本数は減っていくのですが、蓄積量は増えていきます。この増えていくことがミソなのです。これが木の生長量を利用するということです。材積が増えると同時に単価も上がるのです。たとえ単価が上がらなくても材積を増えるということは収入が増えるということです。例えば、奈良吉野の250年のスギの森では1haあたりの材積は1500m3もあります。この森は過去約20回の収入間伐おこなってきています。残った森の材積が1500m3ということです。50年生のスギだと300m3です。250年ということは50年皆伐を5回できます。5回の生産量は1500m3ということになります。吉野の残った森と同じ材積です。択伐施業では20回の間伐の生産量が50年皆伐の生産量より多いということです。おそらく3倍以上の生産量となるということです。当然、100年を超える木というのは単価も上がります。収入は10倍どころではなく、100倍に達するのでは思います。吉野では120年を超えると2割間伐の収入が、50年皆伐収入である約300万円を超えるようです。120年以降の間伐は常にこういう状況になるのです。実際に今年、100年生の山を2ha間伐(2割間伐)した人は約400万円の収入になっています。
 故に50年皆伐というのは、最も儲からない林業と言うことです。本当の木の生長は75年を過ぎてからだと植物学者が言っていたのを思い出します。木が幼少の時に伐ってしまっては、もったいないの一言です。択伐施業では収入が安定してくるのが80年を超えてからと経験者はよく言われます。50年皆伐はその前に伐ってしまうということですので儲からなくなるということです。自伐はこのようにして少ない面積で森の価値を上げながら収入を得、さらに次世代に引き継いでいくのです。80年以上の山を引き継がせてもらった若者たちは皆、喜んで林業をおこなっています。当然のことです。こういう森を創ることが後継者を残す最大の手法と言えます。

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現行林業と自伐型林業の比較Part-4です。
 現行林業(委託・請負型)の林業経営の方向性は「所有と経営の分離」が基本です。行政は所有と経営の分離政策と言っているようです。この理論は本来、企業における株主と経営の分離です。これを強引に林業に持ち込み、山林所有者を経営から分離させることが正しいかどうかということです。山林所有者=投資家と言うことなのでしょうか。
 それはともかく、分離された状態で山林所有者が毎年林業により収入を得ようとすると、古い林業家からはよく聞きましたが毎年約20ha程度皆伐を委託し実施するという手法となります。現在だと約50万円が山林所有者の収入となるため年間1千万円の収入となります。経費も多少かかるでしょうからこの程度は必要となるでしょう。そうすると50年で回すとすると1千ha以上所有していないとできません。以前はよく「千ha以下の所有者は林業経営者にあらず」と言われたのはこのことですね。森林・林業再生プランの集約化の議論でも常に千ha以上必要とよく言っていましたね。つまり千ha以下の所有者は毎年一定以上の収入を得ることは厳しくなります。100ha以下や数haとなると、数十年に1回の収入となります。小さければ小さいほど不利になります。故にこの所有と経営が分離された林業の世界では、小さい山林所有者ほど意欲が無くなってくることは必然です。林業白書では常に「小規模山林所有者に意欲がない」と批判していますが、日本の大半を占める小規模山林所有者の極端な意識低下は林業政策がそうさせていることを知るべきです。
 次に森林経営についてですが、山林所有者は経営から分離され実質的森林経営を放棄していますが、では請負事業体が森林経営しているかと言うことです。現状、森林組合や素材生産業者が何を請負、何を実施しているかと言うと伐採と搬出です。つまり素材生産です。素材生産業の企業経営をおこなっているということです。これは森林経営ではありません。森林組合が管轄するエリアの森林は広大です。素材生産業者は広域に山を転々とします。これで森林単位の森林経営など不可能です。全国で森林組合がきちんとした森林経営をおこなっている事例など見たことありません。山林所有者も請負う事業体も森林経営をおこなっていないということは、日本から森林経営が消滅したということです。正直、きちんとした森林経営を実施している人は、私の目から見て自伐林家の一部に残っているのみです。この森林経営の消滅はこの所有と経営の分離政策の最大の問題点です。さらに残念なのは行政や林業関係者が、素材生産業の企業経営を森林経営だと勘違いしている点です。林業界のほとんどの人がそう捉えているとしか思えません。これも大問題です。この程度のことがわからないとなると林業学が劣化しているとしか言えません。
 故に所有と経営の分離政策は、日本林業の根幹を揺るがす問題点を孕んでいます。衰退産業化、「林業は儲からない」の根本問題は「所有と経営の分離」が引き起こしているのです。この手法を何と日本林業は半世紀も継続しているのです。皆おかしくなっているとしか言えませんね。
 1人の森林経営者が森林の情報や地形を熟知して持続的森林経営を実施する場合、適切な面積は30~200haだと考えています。日本において本当のプロと言える森林経営者は100ha前後を所有し、きちんと自伐している一部の林家や自伐化した大山林所有者にのみ本格的で持続可能な森林経営が残っています。所有と経営を分離した手法が大前提の現行制度のフォレスターや森林施業プランナーなど、この自伐林家たちからすると全くのど素人といえるでしょう。

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現行林業と自伐型林業の比較Part-3です。
現行林業の問題点を述べる前に、整理する大枠(視点)を述べておきたいと思います。
 林業手法は一般の方からすると、ブラックボックスのようでまるでわからないということをよく聞きます。ちょっとでもわかりやすくするために、林業評価を、①林業経営の方向性、②施業手法、③使用機械や作業道に関する考え方、の3点から見るとよりわかりやすくなると考えます。

現行林業の特徴を番号順にまとめると以下のようになります。
① 所有と経営の分離
山林所有と経営・施業を分離させ、請負う事業体を経営主体として林業をまわしていく。請負事業体は素材生産業が主体故、企業経営が主となり、森林経営と言う視点は薄い。
② 皆伐施業
約3千本/ha植林後、下刈り、20年目に除伐し、40年目に間伐し、50~60年で主伐(皆伐)し、再造林を繰り返す林業手法
③ 高性能林業機械の使用
出材コスト低減を目指すために、大量の材の処理を大前提にして高性能林業機械による生産性向上させ採算を合わせることを主眼としている。間伐施業では1人1日10m3以上が条件や目標となる。

自伐型林業をこれに対比させると
① 所有と経営を極力近づける(一致がベスト)
所有者と実施者が違う場合でも、実施者はその山を離れずに継続的に実施する山守型
② 択伐施業
約5千本~1万本/haの密植後、下刈り枝打ち、20年目の除伐後、材積の2割程度の収入間伐を10年ごとに繰り返す多間伐手法。基本的には150年以上を目指し、極力長く展開する。吉野林業地では250~300年生で択伐継続中の山も現存する。再造林は数反単位の小規模更新や天然更新等があり、低コスト・低労働でおこなう。
③ 身の丈に合った小規模機械
幅の狭い(2.5m以下)高密度な作業路網敷設により、小規模機械(ミニユンボ+2トントラック・林内作業車等)での施業を可能とさせ、低コスト化と持続性・永続性を実現させている。

次回から現行林業が、どうして衰退産業化したか「林業は儲からない」が一般化したか、その問題点をあげていきたいと思います。先ほど、林野庁のHPを覗いてみましたが、今年の林政審議会もこれまでの延長線上の議論を加速させています。私が言うような論点はほとんど見られません。ちょっと怖ささえ感じてしまいました。


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