木質バイオマス を トウモロコシバイオ燃料にしてはいけない

化石燃料高騰により、より注目を集め始めた木質バイオマス利用だが、まだまだどういう利用システムを構築すれば持続可能な木質バイオマス利用となるかという議論やシステム論が成熟していないのが現状だ。

仁淀川町のように、規模、収集運搬、エネルギー転換、最終利用というバランスのとれたトータルシステムを目指し、持続可能性を追求している例がある一方、Co2排出量取引のみを見据えてとにかく一カ所で大量に処理してCO2クレジットを発生させること目的としているような例も見られはじめた。

後者のような例は、全体を設計せずに得意とする一部のみを見て儲けようとする行為で、世界で問題になっているトウモロコシバイオ燃料の問題と同じことを引き起こす可能性がある。

高知県でも急に、木質バイオマスを構築しようとしている計画がいくつも耳に入り出した。
現在間違いなく、仁淀川町方式が持続可能性では先端をいっているのだが、まだ県標準や全国標準として認識されていない。広めるには本物の「木質バイオマス地域循環システム」でなくてはならない。

現在最も危惧するのは、大手資本が入って一カ所で大量に処理しようとする動きである。
仁淀川町の収集運搬システム構築段階で、またNEDO事業の他地区の状況を見ていて一番感じるのが、単価の安いタンコロ(林地残材)を運ぶのに遠い距離を運ぶこと自体不自然であり採算性が全く合わない。
事業体はとにかく大量にほしいため、いろいろ手を尽くす。その一つの手が地元自治体(市町村と県)を巻き込む。
発電が主体であれば事業主体が収集運搬者に払えるのは1000~2000円/tぐらいだろう。3000~4000円/tを地元自治体が搬出者に補助金を出せということになるだろう。(すでにこの手法は県のモデル事業になっている例で使われている)
故に今度の事業体はこれをまねるであろう。

しかし問題はこのあとだ。この補助金が地元に還元されればまだいいのだが、日々集める量が大量であればどうなるか、おそらく地元森林組合等の素材生産業者は林地残材収集運搬は割が合わないため本気での対応はできないと思われる。とどうなるか、集成材や合板の大型資本が入っての生産システムで問題視されていたような、他県の業者を呼び寄せ、放置されたスギヒノキ林を買いたたき皆伐(全て伐る)して、材を確保するという行為が頻発することが予想される。
こうなると地元自治体は税金を投入し、他県の業者に金を払い、地元の山を「はげ山」にするということになる。そうなると土砂流出、災害が増えることは火を見るよりも明らかである。安い価格での皆伐はその山の林業の終息を意味し、林業自体も衰退させる結果となろう。最悪である。

また、こういう大量に扱う事業体は少量しか運べない個人などは最初から相手にしないだろう。
ゆえにいかに、本物の「木質バイオマス地域循環システム」が大事か。
高知の山をハゲタカの狩り場にしてはいけない。県はしっかりとした情報収集、計画を策定しこれをコントロールしなければいけないと感ずるが。
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by ken_nakaji | 2008-07-16 06:38 | 森林 | Comments(0)
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