小規模林業に陽が当たる?

木質バイオマス利用によるエネルギー自給システムは小規模林業(個人やNPOによる森業)に陽の当たる仕組みであることがわかりつつあります。森林環境保全面から評価した場合も自伐林家の森が高評価されています。小規模林業がクローズアップされる日も近いようですね。
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以下、以前高知新聞に依頼され書いたものです。

小規模ということ

 以前、嶺北に住む森林・林業に詳しい方に、その方曰く「よく手入れされた理想に近い杉・檜の人工林」を案内していただいたことがある。嶺北内の3箇所で、それぞれ多少方針の違いはあるものの「確かにこれは違うな」と思わせる森でした。おもしろいことに3箇所中2箇所が自伐林家(自分の森を自分で間伐・搬出する小規模な個人林家)が施業する森なのです。大規模に施業する団地化されたようなところや国有林ではありません。このお二人中のお一人はなんとサラリーマン林家(勤めとの兼業林家)なのです。ここで言う「理想に近い人工林」とは木材生産だけではなく、水源涵養、国土保全、Co2固定(地球環境保全)面でもより役立っている森のことです。これは林野庁が「森林・林業基本計画」で目指す「多面的機能を発揮する森」ではないでしょうか。この自伐林家の方々は作業道(林道より小さく幅2~3mの作業用の道)を敷設し、チェーンソーと林内作業車(ウインチ付小型運搬車)で管理・搬出をおこなっています。また、安価な移動式製材機で一部製品化したり、林間で農業生産をおこなったり様々な工夫をこらしていることも共通しています。こういう施業方は大型機械化が進む林業界ではかなり原始的な方法といえるでしょう。
 林業に限らず農業もそうですが相変わらず国の政策は、集約化や大規模化を推進しています。集約化や大規模化により生産性が向上し、競争力向上につながり、収益が上がり、雇用が増える、というようなことなのでしょう。支援策や補助金も大規模化を目指すところへ集中させようとしています。これにはどうにもこうにも疑問を感じます。先のように理想に近い森を造っている方々は大規模とは限らないのです。経済面でも小規模なところは儲からないかというとそうではないのです。先の自伐林家の方々はきちんと収入を得ているはずです。材価の安い現在、きちんとした収入に成るか否かは施業方法や規模の大小ではなく、自分の山を自分で施業するか否かなのではないでしょうか。自分の山の管理を他人に委託するという贅沢(かつての栄光)が成り立つ業界ではなくなっていると思いますが。昔のように自分で施業することを考え直すべきではないでしょうか。自伐林家しかり、Y森林、T網元しかり、大手のS林業、N産業しかり、旧大正町有林しかりです。これらの方々は自ら施業するため同じ山にも頻繁に入り手入れできます。故に“いい森”になっていくのでしょう。こういう林家なら林地残材も搬出できるかもしれません。それはさておき。こういう個人の方が増えてくれば大規模に匹敵、いやそれ以上の効果をもたらすのではないでしょうか。
 我々森林ボランティアも自伐林家の方々の手法を取り入れ、同じようなやり方で整備し、材を出し、利用しています。最近は移動式製材機も使い始めました。原始的でしょうがこういう手法がおもしろく楽しいのです。「修羅」という搬出方も試みたこともあります。皆で勉強しながら、教え合い、新しい参加者には講習会を開きながら実施しています。このように長年コツコツやっていると結構上手になるものです。最近は簡易な架線による搬出が少し注目されたりしています。そこで感じるのですが、われわれのこの技術や研修のし方が施業技術を持たないがやる気のある森林所有者の方々に役に立つのではないか、素材生産者増加に役立つのではないかと考えたりします。いや、あまり大きなことを言うのはやめましょう。林業は横ばい、いや下降気味の経済下でしょうか。低投資、身軽で自在な「小規模」の利点に目を向け直すべきではないでしょうか。いかがでしょう。森林環境税等により森・山が注目され始めています。皆さん一度こんな森林ボランティアに参加されてみては。
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by ken_nakaji | 2007-11-16 07:12 | 森林 | Comments(0)
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