森林及び林業を再生するには(一つの側面ですが)

森林のネットワークが広がるたびに、また先日のようなシンポジウムに参加するたびに、荒れた森林や不況の林業を再生するにはどうしたらよいか、結構真剣に考えるようになりました。

最近一つの方向性が見え出しました。この感覚が正しいか、会う方々に感触を確かめていますが、間違ってないのではないかと思えるようになってきました。

日本の経済はいろいろ問題を含んでいますが(特に地方)、ひところに比べれば、という状況のようです(都会は割合よくなっているような)。一応横ばいのような状況に持ち直した原因はなんでしょう。ひところ流行語にもなった「不良債権」の処理ではないでしょうか。これが存在するかぎり日本の再生はないと言われていました。政府は税金まで投入して銀行の不良債権を処理しました。その結果、現在のような状況になっております。

林業は林野庁や地方自治体が一生懸命力を入れているのですが、一向によくなりません。荒れた人工林は加速度的に災害を起こしまくっています。国や企業、自治体が怠けているわけではありません。しかしこの状況です。どうも一つ基本的なことを見落としていないでしょうか

そうです、森林にも「不良債権」が存在し、これが全ての努力を無にしているのではないでしょうか。例えば仁淀川町。合併して人口7300人ほど、面積は大きくなり330k㎡。大阪市より広く、東京23区より小さいということになります。このうち森林の割合が90%弱、人工林率は74%です。人口7300人のうち林業従事者はどれだけいるでしょう。

このキャパで膨大な森林を管理できるわけがありません。高知県にしてもしかりです。日本においてもそうではないでしょうか。要するに林業の許容量を完全にオーバーしている=不良債権化している森林が多く存在する ということではないでしょうか。

ではどうするか、当然不良債権処理を実施しなければなりません。
「不良債権化した森林」とはどういう森林か。これは生産効率の悪い森林ということでしょう。
森林の状態は別にして「立地」で見てみましょう。

おそらくこうではないでしょうか。急傾斜地、沢筋(特にV地谷)、奥山、ではないでしょうか。その証拠にこういう場所が放置林化されている場合が多いですね。林業はこういう場所を不良債権として放棄すべきです。

では誰が面倒を見るか。しかし、よく考えてみてください。急傾斜地と沢筋は近年、表層崩壊や沢抜けを繰り返し、災害復旧工事や砂防工事が繰り返されている防災上重要な位置になります。国土保全上重要な立地です。国土保全費を投入すべき場所ではないでしょうか。要するに国土交通省が主体的に管理すべき立地。

また、奥山は人間が近づきにくいため、生態系保全上重要な位置といえます。こういう立地は環境保全費を使うべきではないでしょうか。要するに環境省が主体的に管理する立地。

故に、林業が林業として成り立つ立地で生産すべきです。作業道敷設可能で生産効率の高い立地に集約すべきです。こういう線引きが必要です。必要以上のものを抱え続けることがよくないのはわかりきったことです。

少々短絡的ですが、うまく棲み分けはできます。縦割りを乗り越え連携して、産業の活性化、国土保全、生態系保全を一体化して実施する時期にきているのではないでしょうか。
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by ken_nakaji | 2006-10-31 23:38 | 森林 | Comments(0)
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