草木を燃やす

農家の野焼きは問題ない
「灰は使いたいけど、草木を燃やすのはいけないから」と思っている人も多いと思います。しかし廃棄物処理法の野焼き禁止の例外規定には「農業・林業または漁業のためにやむを得ない廃棄物の焼却」と、しっかり盛り込まれています。農家の野焼きは法律的には何の問題もないのです。また、灰をよく使う環境保全型農業の実践者にとっては、焼く草木、稲藁やモミ、畜糞は廃棄物ではなく、とても大事な肥料でありバイオマス利用なのです。故に単なる処分ではないので廃棄物処理とは見なされません。こういう点からも違法ではないと考えるべきです。
灰の成分――灰は燃えてミネラルが残ったもの
植物も動物も、生物はおもに有機物からできています。そのおもな材料は炭素C・水素H・酸素O・窒素N。有機物を酸素のある環境で燃やすと、これらのC・H・O・Nは二酸化炭素CO2や水蒸気H2O、アンモニアガスNH3などになり、空気中に揮散します。(酸素のない環境で燃やすことが「炭焼き」炭素Cが残る)
一方生物には多種類のミネラル類も微量ずつだが含まれています。ミネラルは燃焼しても気体にならず固体で残ります。カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、ケイ素、ナトリウム、アルミニウム、鉄、亜鉛・・・。これらが熱の化学反応で酸化物や炭酸塩、硫酸塩などの形になったものが灰です。
せん定枝やモミガラなどを肥料として土に施用したとしても、微生物などが長時間かけて分解してくれない限り、これらの有機物内部のミネラルを作物は摂取できません。だが、燃やして灰にすれば、すぐに利用できてしまいます。
灰の効果と使い方――病害虫を防ぎ、作物を健康に
・特有の匂いがあるので、害虫の忌避効果があります。
・アルカリ性が苦手な病原菌の活動を抑制します。
・作物の生育に不可欠なミネラル類をごく微量なものも含めて全て網羅されています。耐病性の向上、健康促進によい。
・土にまくと、放線菌や納豆菌などのアルカリ性を好む有効菌が増え、ミネラル類をエサに多くの微生物の働きが活発になります。
・土壌散布は表面施用でも全層混和でもOK。アルカリ資材だが石灰のような過剰害は出にくい。
・窒素を含む化成肥料や堆肥などの有機物と一緒に施用すると、アルカリ作用で窒素がアンモニアで揮散します。いっぽうで有機物の分解を進める作用もあり、有機物の成分が早く利用できます。油カスは灰に不足している成分を補えるので、相性がよいとされています。
灰は再生、循環の象徴
「ここ掘れワンワン」のポチの遺骸を埋めたところから生えてきた木。その木でつくった臼が燃やされてしまった灰。しかしその灰を枯れ木にまいたら花が咲いた・・・。民話「はなさかじいさん」は、生命の究極の終わりである灰が、新しい生命を生み出す様を描いています。灰にこのような意味を持たせた民話は少なくないようです。
たとえば火の鳥・フェニックス。不死鳥とも呼ばれますが、永遠に死なないのではなく、数百年に一度、香木を積み重ねて火をつけ、その中に飛び込んで焼死します。しかしその灰の中から幼鳥となって現れる・・・。「灰かぶり姫」で知られるシンデレラも、どん底から幸せへの転換の物語ですね。
作物が(強酸性で)育たない山の土も、焼畑で灰に覆われるとアルカリ作用で作物が育ちます。畑に灰をまくと作物がよく育つ。究極のミネラル、「再生」のシンボルが「灰」なのです。
■燃やす素材別のミネラル分
・Pリン酸は畜糞に比較的多い
・Siケイ酸はイネ科に多い。竹、モミガラ、稲藁等
・Caカルシウムは木に多い。広葉樹よりも針葉樹の方が多い
・Kカリウムは草に多い。

*ものを焼かなくなってから、日本の田畑はミネラル不足。ようするに、いま、日本の田畑には灰が不足している。と言えるでしょう。もう一度灰の利用を含む木質バイオマス利用について真剣に考えるべき時ですね。
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農文教、「現代農業」のH18年一月号を参考にしました。
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by ken_nakaji | 2006-04-10 20:24 | 棚田保全 | Comments(2)
Commented by けんちゃん at 2006-04-10 20:45 x
 このあたりはみな誤解しています。「野焼きパトロールが来るので、刈り取った草も燃やされん」と言われましたし。やはり広報活動は必要ですね。
Commented by ken_nakaji at 2006-04-11 07:23
昨年焼畑を実施した折にも、町の環境保全課に何本も違法ではないかとの抗議の電話があり、説明を求められ説明に伺いました。民間、自治体ともまだ勉強不足のようです。戦前までの日本はとにかく灰を有効利用していたようです。灰を上手に使うこことにより、全国で無農薬栽培ができていたということです。
また、新たにどこかでco2を排出しながら生産された肥料を使うよりは、放置バイオマスを有効利用する、灰利用はかなり有効的でもあります。
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