現行林業(委託型林業)と自伐型林業の違い-1

これまで林野庁主導で長年展開されてきた現行林業と自伐型林業の違いをよくわからずに、批判であったり、どちらが展開されてもいいのだというような意見が多いようなので、何回かにわたって現行林業と自伐型林業がどう違うか説明したいと思います。私たちは現行林業に問題点が多く、国土の7割を森林が占めながら衰退産業の代名詞のようになり下がり、「林業は儲からない」が一般化して高額補助金がないと話にならい状況になってしまっていることを憂慮して、ここから脱するために自伐型林業を提案しているわけで、どちらでもよいというものではありません。結果的に双方が存在するのは仕方ないのですが、どちらが優れた手法であるかはわからなくてはいけません。(この場は論争する場ではありませんので、こういう風に考えているということを知ってもらえればと思います)
 「林業は儲からない」は、山林所有者が儲からないからが第1原因です。日本一の大山林所有者は国有林です。国有林は約3兆円の大赤字を積み上げ、数年前特別会計から一般会計に移行されました。次に各県が民有林を集めて行った県営の公社等による造林(分収造林)も大赤字、国と同じく約3兆円あると言われています。破綻した公社も多く、残っているところも不良債権の森と化しボロボロです。次に民間の企業や個人の大山林所有者たちの山林経営も大赤字となっています。特に個人の大山林所有者は破産したところも多く聞きます。すべてで10兆円近くになるのではないでしょうか。これらのほとんどが、植樹~下刈り~枝打ち~除伐~間伐~主伐をすべて作業委託する形で展開したものばかりです。分収造林では主伐した収益で、それまでの借り入れをすべて返済し、さらに残る利益を山林所有者と分収する予定が、過去借りた金額のほとんどを払えないという状況になり、貸した金融機関は完全に不良債権化しています。これはすべての作業を委託する手法(所有と経営の分離政策)は現行木材価格では全く成り立たない証拠ですが、日本林業はまだこの全面委託型(所有と経営の分離)を変えようとしていません。森林・林業再生プランもこれが大前提です。
 また現在何とか残っている請負事業体である森林組合と素材業者は、この山林所有者が赤字覚悟で委託してくれたのに加え、さらに国と県による補助金が年間数千億受け取ることができるから何とか生き残っていると言えます。これが委託・請負型の現行林業の実態です。ほとんど成り立っている産業とは言えないのではないでしょうか。この一事を見ても日本林業は根本療法が必要と言えます。しかし、出される政策は対症療法ばかりと言えるでしょう。先の森林・林業再生プランも、根本療法に踏み切るかと思いきやそうではなく、小規模な間伐実施者の補助金をカットし、経営計画を立てられる規模(100ha程度以上の集約化か個人所有)の事業体だけに絞り込み、この事業体への補助金を2~5倍に増額するという補助金倍増プランという、まさに対症療法そのものと言えるでしょう。本来、儲からない主原因を見極め、そこを根本から変える政策、誘導する政策を実施しなければいけないと思います。

 今回は林業全体の概況でしたが、次回からは委託型林業と自伐型林業の特徴と違い、その後比較をしたいと思います。何回かに分けて出していきます。


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by ken_nakaji | 2015-11-11 10:10 | 森林 | Comments(0)
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