自伐型林業者の「さぎょうどう(作業道)」は「さぼうどう(砂防道)」

なぜ持続的経営を代々続け、高密度に「壊れない作業道」が入った自伐林家の森が、昨今の豪雨を受けても崩壊や土砂流出が起きないかというと、先の投稿で成川さんが気付いたように、この作業道が砂防の役割を果たしているからだと考えます。

岡橋さんは約100㎞の作業道が入っている約500haの山林、橋本さんの山林は100haに32㎞の作業道が入っています。お二人とも「壊れない道づくり」の大橋式作業道継承者です。

谷を渡る場合は「洗い越し」という手法で谷越えをします(最初の3枚の写真)。谷を直角に渡り、水を道の上を流します。道は平らになりますので、傾斜が強い谷は道が終わるとストンと落ちます。そこには木組みや石を使って落差が造られます。これまさに砂防工の「落差工」なのです。また小規模な「堰堤」の役目もしております。傾斜の緩い谷(3枚目)は「床固工(床止工)」です。土砂を止めたり、水流を緩めたり、河床が掘られることを防いでいます。
高密に入るということは、山林中の同じ谷を3~5回渡ります。ということは2~30mおきに3~5箇所「落差工」が敷設されたことになります。連続した落差工です。よく渓流砂防工事で見られます。

次は、平行な作業道が上から見たら、何段にも重なっています(4枚目の写真)。これはまさに砂防工の「山腹工」です。通常は土砂流出を防ぐために山に階段を造る感じになります。今、火山化している箱根の大涌谷にもありますね(テレビに頻繁に映されています)。大橋式作業道は尾根でヘアピンを繰り返しながら上へあがり、作業する山の腹では平行に、という基本があります。故にこうなっているのですが、大橋さんは長年の経験で砂防効果があるのをわかっていたのだと思います。故に2.5m幅にこだわっているのです。これ以上になると山腹工どころか、崩壊を招くことにつながるからです。2.5m以下だと逆に、崩壊や土砂流出を止めると。

最後は木組みです。木組みは明らかに小さなアンカーです。地すべり防止です。

実は、彼らの山は全く崩壊や土砂流出が起こっていないのではなく、起こっているのです。しかし、崩壊の起点のところや地すべりの起点のところで、小規模なところでこの作業道が抑え込んでいるのです。昨夏の豪雨(2千ミリ豪雨)の直後、橋本さんの山へ行くと、小さな崩れや谷に土砂が少し出ていました。すべて一つ目の作業道で止まっていました。橋本さん曰く「ユンボーでちょっとならせばすぐに使えるし、土砂が落ちたところは木組みで補強する。問題は全くない」と。そうなのです。大きな崩壊になる前に食い止めているのです。この繰り返しで、どんどん災害に強い森が出来上がってくるのだと、わかりました。

そして通常砂防工事は災害が起きてから工事されますが、作業道は災害が起こる前に敷設されます。予防工事と言えます。
壊れない「さぎょうどう(作業道)」は機能する予防のための「さぼうどう(砂防道)」と言えるのではないでしょうか。

これは自伐型林業の新しい価値であり、大きなステップアップかもしれませんね。


[PR]
by ken_nakaji | 2015-05-08 22:58 | 森林 | Comments(0)
←menu