危険な木質バイオマス発電の推進

ここ3日間でどういうわけか「木質バイオマス発電」についての問い合わせが相次ぎました。市民活動グループ、出版社、大学の先生の3者の方々である。共通していることは皆さん、バイオマス発電はとても良いことで、全量買取制度等により電気の買取価格を上げて推進すべきであると思っていました。かなりの専門家の方もおられましたが皆さん同じでした。先の高知新聞の木質ガレキ発電の記事もそうですが、肝心なことがまったく抜け落ちています。バイオマス発電に対する認識が日本全国で非常に甘いと言うことを示していますね。これは政府の対応が甘いというか、そういう検討がなされていないのか情報として一般的に出てないと言うことですね。しかし、普通に考えるとすぐにわかることなのですが。

木質バイオマス発電された電気の買取金額を最低でも30円/kwh にしろと言う、市民団体の方がおります。この方その団体で森林・林業に関することの責任者をしているようです。30円で買い取ると言うことが、林業にどういう影響が出るかまるで考えてないというか、まったくつながっていないのでしょう。現政権がこういう議論をしないことに腹を立てております。まあ林業や木材産業は多少わかっているのでしょうが、つながりを持ってぜんぜん考えられないようです。ちなみに現在、木質発電の買取金額は10円/kwh以下の価格です。

現在エネルギー利用される木材は、何と競合になっているかというと、パルプ原料材です。紙の原料ですね。現在低質材の行き場は、エネルギーかパルプです。
昔、自伐林家がたくさんいた頃は、こういう低質材も搬出されパルプ原料の国産比率は結構高かったのですが、自伐林家が減り森林組合等の専業企業体による林業が中心になるに従い、こういう低質材は採算割れから搬出されなくなり、外材化していきました。しかし最近国産比率を上げる取り組みが紙メーカーで始まったり、またエネルギー材に比べてちょっと高く買い取れるため、ちょっと上向いてきました。こういう状況で木質発電の買取価格が一気に3倍以上になり、原料材の買取価格がパルプを上回るとどうなるか、大規模な発電施設ができると一気にパルプ材から発電材供給に動くでしょう。パルプへの材供給が止まります。さらにパルプ材価のちょっと上にはスギ価格があります。もしこのスギの価格より発電原料が高く買取始めると、スギの原木が一気に発電に供給され始めるということです。理屈は単純です。高く買い取ってくれるところに動いていきます。もしそうなれば木材産業は大混乱に陥るでしょう。1施設が大量に材を必要とするのも大きな問題が出てきます(これは今回は省きます)。また木材からとれるエネルギーでは発電は最も効率悪い使い方です(基本は熱です)。

トウモロコシ等のエタノール化でも食糧と競合しました。木質発電は林業・木材産業と競合します。風力発電や太陽光発電とは、まったく背景や関連が違うということです。このあたりをまったくわからずに推進している人が多いのに驚きます。まったく困ったものです。市民、大学、マスコミ、皆、菅直人化してきているのでしょうか。こういうことから木質バイオマス発電は自然エネルギーから排除すべきですね。

ガレキ発電の記事をまた載せますが、マスコミももっと取材能力を上げてほしいものです。
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by ken_nakaji | 2011-08-03 21:42 | 森林 | Comments(0)
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