また林業の根幹を壊しそうな事業が動き出した

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また短絡的なシステムが大規模に展開されようとしています。「ガレキ発電」を被災地に全面展開すというものです。既に予算化され動き出しているようです。
ガレキで発電している間はまだいいのですが、問題はその後です。間伐材を使うと言っているのです。こうなると一気に危険性が高まってきます。

問題①:木材を使ってエネルギー化する場合、発電は効率が悪く熱利用の約1/3です。熱利用の3倍もの木材を必要とするのです。これ故、専門家の中には木材による発電を批判する人は多いのです。要するに「日本の木を発電に利用すると森がなくなる」ということです。

問題②:一度動き出すと1箇所で大量の木材が必要となる。集まらなければ止まってしまうため、メチャクチャな策を打って出る。現在民主党というか菅直人首相が退陣の条件にしている「全量買い取り制度」や数年前に林野庁が実施したバイオマス補助金(発電原料収集運搬に1m3、6000円の補助金を出す)というような、林業システム自体を脅かすような、また無視した政策が打ち出される。数年前実施された1m3、6000円の補助金は、エネルギー材自体の買い取り価格を3000円とすると補助金と合わせると9000円/1m3となる。これは当時のスギ(建築用材用)の価格以上である。こういう事がなされると、原木市場や製材所へ販売するより発電所へ持っていった方が特になる。故に森林組合や業者は一気に雪崩を打ったように発電所へ持っていく可能性がある。するとどうなるか、発電所はとにかく材がほしい、業者は儲けることをしたい。この結果は明らかですね。皆伐(はげ山)をしてどんどん材を供給するという最悪の事態が起こりえるのです。

問題③:もしこういう状態が少しでも起こってしまったら、三陸地域はリアス式海岸で、海と山が隣接しています。この地形を利用した養殖業や沿岸漁業が盛んなところです。今この漁業の復活に皆さん努力されています。山が正常な状態ではじめて海が良好に保たれ漁業ができる場所なのです。故に「海は森の恋人」なのです。この地でこういう漁業と関係ない業者が皆伐をして山をはげ山やにしたらどうなるか、荒い林業施業をして山を荒らしたらどうなるか、既に釜石市周辺では、はげ山、7割間伐している山、でかい作業道が剥き出しになっている山を多く見かけました。こうなると「ガレキ発電が漁業を潰し、林業をも潰す」可能性があるのですね。たいへんなことです。

問題④:高知でも発電混焼(セメント会社)が始まっていますが、やはり大量に木が必要になるため、自伐林家等の個人の出荷を認めていません。少量に持ってこられると手間がかかるのでダメということのようです。業者だけのシステムになっています。山林所有者や山村地域は関係なしです。地域振興にもほとんどつながりません。

こういう問題点を考慮せずに、行政と業者たちだけで進められようとしています。非常に問題です。三陸地域のみなさん是非声を上げるべきですが、こういう情報がなかなかわからない、伝わらないというのも問題です。どうすべきか・・・

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この写真は仁淀川流域のバイオマス集積土場です。現在主力商品が写っています。手前はパルプチップ屋さんが材を取りに来ています。奥にはきれいに割られた薪が積んであります。この2商品だけで、山側からは制限なくいつでも材を購入できます。発電やペレットは必要ないですね。シンプルなバイオマス利用で十分なのです。変な高投資は必要ないですね。失敗の元です。NEDOでわかっているはずなのですが、また総務省にもこじゃんとやられたはずなのに、やろうとしています。林業への悪影響もかえりみず。
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by ken_nakaji | 2011-07-28 21:14 | 森林 | Comments(0)
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